【MTX200R 腰下分解】

腰下の分解を行う前に腰上を撤去しておく必要があります。

 

フライホィール撤去  ジェネレータ&パルサー撤去  右クラッチケースカバー

クラッチ部撤去   シフト機構  クランクケース割  スターター部

組み立て  タイミング合わせ  作業中に

 

 

【フライホィール撤去】

フライホィールを外すには専用工具が必要になります。

Y字工具をフライホィールの穴に差し込んで廻らない様にロックするか、ギヤをローに入れてリヤブレーキを

踏み込んだ状態で、フライホィール中心にあるナットとワッシャを撤去します。

 

ウォーターポンプ部を分解される際には、この状態で外されると良いでしょう。

  

左画像のフィンが付いている部品(インペラー)は左ネジ式なので、外す際には右廻しでおこないます。

なおクランクケースを割る際に、ポンプ部を分解しなくても良いです。

 

 

専用工具をセンターに取り付けます。

ネジは逆ネジになっておりますので、左廻しで取り付けます。

右写真の様な状態にセットして、十字バーを右にねじ込むと、ガコ!って音がしてフライホィールが外れます。

クランク軸にフライホィールをガッチリ連動させる為に三日月状のウッドラフが軸に取り付けられているので

紛失しない様に注意して下さい。

 

【ジェネレータ&パルサー撤去】

丸印内のボルト6本を外します。

中央にある凸凹した部品がジェネレータで、右下側にあるのがパルサーです。

 

ニュートラル状態を知らせる信号コードを外します。

 

【右クラッチケースカバー撤去】

ケースを外す前にオイルポンプ、ATAC機構を外しておく必要があります。

オイルポンプに隠れる感じで1本のボルトが取り付けられています。

丸印のボルトを全て外して下さい。

なお、場所によってボルトの長さが異なりますので注意して下さい。

分からなくなったら、取りあえずボルトを差し込んでみて1cmほど突出していれば、適正ボルト

だと判断出来ますので、神経質になる必要はありません。

長年外した事が無い場合、ガスケットが固着している可能性があります。

その時はゴムやプラハンマーで外周を叩いていれば徐々に外れます。

 

【クラッチ部撤去】

クラッチ及びクランクギヤ(クラッチの右側にある)を撤去する場合、特殊なナットを使っている為に

専用工具と治具が必要になります。

専用工具です。

 

 

クラッチ部の4本のボルトを外し、スプリング4本を撤去します。

 

治具は海外から入手可能ですが、自分の様に自作する事も可能です。

加工性と強度を考えて3mm厚のアルミプレートで自作しました。

これを外した4本のボルトで固定しますが、隙間があるので厚さ8〜10mm程度のカラーを使うか、

ナットを流用されると良いです。

 

プレート左穴にY字工具を差し込み、中央の穴に専用工具を挿入します。

治具を使わずに専用工具だけで外そうとしたら、専用工具自体が破損する事がありますので注意して下さい。

 

【シフト機構】

  

丸印部はウォーターポンプを駆動するギヤシャフトです。

クランクケース自体を割る予定が無い時は、このシャフトを引き抜かない様に注意して下さい。

シャフトは2種類の仕様があって、先端にピンがあるタイプとウッドラフキーを使っているタイプがあります。

車体番号では識別が難しく、ウッドラフキー仕様だった場合、カランって音がしてクランク室内に落ちてしまいます。

 

このシャフトの右側にあるのは振動を抑制するバランサーです。

このシャフトの左及び下側にあるギヤはスタータ系であり、キック時にクラッチベースを回転させる構造に

なっています。

四角い枠内はシフトチェンジ機構で中央側にある円みたいな部品がドラムシフターです。

画像の右から二番目がクランクシャフトで、右上がATAC機構になります。

右側の画像はシフトシャフト機構で、バラバラになった時には組み付けに注意が必要です。

 

【クランクケース割】

丸印のボルトを全て外して下さい。

ジェネレータやパルサーは取り付けられた状態でもクランクケース割が出来ます。

ボルトを外しましたら接合面に沿ってプラもしくはゴムハンマーで叩いて下さい。

暫くすると音が変ります。

 

左クランクケースを外した状態です。

丸印のシャフトを抜くとシフトアームが外れます。

左側に1個、右側に2個あります。

右側のシフトアームにはRとLの表記がありますので、組み付け時に間違えない様にして下さい。

間違えてもシッカリ填まらないので分かると思いますが。。

 

  

ミッションは引き抜くとバラけ易いのと、軸側にワッシャーがあるので紛失に注意して下さい。

右側の上下にあるギヤは溝側を内側に来る様にセットして下さい。

 

【スターター部】

 スターター部は外れない様に注意した方が良いと思います。

ガスケットの再利用を考えている方は特に注意して下さい。

バラけるとリターンスプリングの先端が飛び出て、ガスケットを破損させますので。

 

外れてしまった場合、右側のギヤを左画像の右穴に反対側から填め込んで下さい。

 

スターターの本体です。

50Rや80Rの様に勝手にバラける事はありません。

 

 

スターター本体の突起部を左画像の様な位置にセットします。

次にリターンスプリングの先端を右画像の丸印部分に引っかけます。

 

【組み立て】

基本的にはバラした順番の逆手順を行えば良いです。

ワッシャー、カラーなど小物部品の取り付け忘れに注意して下さい。

 

両方のミッションを噛合わせた感じにして、クランクケースにセットします。

どちらか先をセットすると、残る片方の取り付けが出来ません。

シフトアームをセットしてからシャフトを差し込んで取り付けを行います。

この時、ミッションを廻しながらドラムシフターを廻してミッションが切り替わるか点検して下さい。

 

シフト機構を取り付けます。

画像には写っていませんが、ドラムシフターを支えるアーム(本来ならドラムシフターに右側にある)の

取り付けに苦労されるかも知れません。

 

【タイミング合わせ】

 

クランク及びバランサーのポンチ部分とマーク位置を合わせます。

両方の位置を調整した状態で動かさない様に注意をしつつ、クラッチアウターを取り付けます。

取り付け後、クラッチを手で廻して位置ズレが無いか確認して下さい。

位置のズレ方によっては、エンジン始動中に凄い振動を受けます。

あとは残りの部品を全て取り付けるだけです。

 

【作業中】

明るい紙やシートを敷いて、極力、ブロック毎に分けておくと良いです。

例えばクラッチ関連・・みたいに。。

もし取り付け忘れがあったとしても、どのあたりの部品か判断出来ますので。。